ヨーロッパを旅行すると、アンティークの金物がズラリと並んだ蚤の市に出くわすことがあります。
ヨーロッパでは、棚受け金具、ドアノブ、ドアノッカーなど、建物や家具がなくなっても古い金物を取り外して大切に使い続ける習慣があるからです。
ふと見かけたドアノブが、あまりに素敵なデザインで一目惚れ。
買ってしまったので何とか玄関ドアに付けたい!とおっしゃる方がたまにいますが、最新の玄関ドアにわざわざ古いドアノブはおすすめしません。
ドアノブは、錠と一体のものです。
「ドアノブだけアンティークで、中身の錠は最新式」ということができればベストなのですが、
そのようにうまくはいきません。
そもそも、ドアノブの交換は、
ドアの厚みや錠とドアノブの軸位置がうまく合わないと付けることができません。
古い外国製のドアノブですと、規格も不明なので、まっさらの板に穴を開けるところから取付けるのならうまくいきますが、既に付いているドアノブとの交換で取付けるのは、多くの場合不可能です。
現在、メーカーが作っているリフォーム専用ドアは、すべて丸いノブタイプではなくハンドルタイプですので、リフォームドアの場合も「外して交換」はできません。
最新のドアの錠は、ピッキング対策のダブルロックやディンプルキー、サムターン回し対策の着脱式サムターン、ロック式のドアガードなど、防犯性能が格段に進化しています。
カードキーやスマートコントロールキーなど、操作性もアップしています。
せっかくの性能がもったいないです!
見た目と安全でしたら、迷わず安全をとることをおすすめします。
アンティークのドアノブにも色々な形状のものがありますが、上の写真のような丸いドアノブでしたら、使い勝手という意味でもあまり好ましくはないでしょう。
丸いドアノブが、徐々に世間から消え、絶滅しつつあることをご存知でしょうか。
新築の家屋では、ほぼハンドル型になっています。
これは、丸いドアノブが非常に使いにくいものだからです。
丸いドアノブは、回転させて引くという動作が必要ですが、力が弱いと非常に困難なのです。
様々な研究から、丸いドアノブは人間工学的には欠陥品であるという結果が出ており、
カナダのバンクーバーでは、2013年に新築へのドアノブの取り付けが禁止されています。
ドアだけでなく、蛇口もノブ型は付けられないそうです。
小さな子どもも高齢者も、簡単に使えるのは、やっぱりハンドル型。
最新のドアハンドルは、防犯性能もユニバーサルデザインも、色々なことが考えられているんですよ!
アンティークのドアノブは、リビングや寝室など室内にお使いになってはいかがでしょうか?