コラム

公開日:2018年12月30日

/ 最終更新日:2019年12月21日

内開き玄関ドアの特徴。外開きタイプとの徹底比較!


玄関ドアのタイプを日常生活で意識することはあまりありませんが、外開きと内開きの2種類のタイプがあります。それぞれのタイプには特徴がありメリットとデメリットもあります。日本の住宅では外開きタイプの玄関ドアが主流となっていますが、内開きタイプの玄関ドアならではの効果も気になるところです。では内開きタイプの玄関ドアにはどのような特徴があるのでしょうか?今回は内開きタイプの玄関ドアの特徴と外開きタイプとの比較についてご紹介します。

内開きタイプの玄関ドアの特徴

玄関ドアは内側から見てどちらの方向に開くかによってタイプが変わってきます。日本家屋によく見られる引き戸タイプの玄関ドアを除けば住宅の玄関ドアは開き戸タイプとなっており、ドアノブを掴んで押すか引くかすることによって扉を開けることが出来ます。動作的にはどちらも大して変わりありませんが、扉がどちらの方向に動くかによってドアの特徴に違いが出てきます。

内開きタイプはドアが室内に入る

内開きタイプの玄関ドアは外出時に扉を内側へ引くことで開いて、閉める際は扉を押すという形式になります。しかし日本の住宅は現在の洋風スタイルが浸透して以来、ほとんどの家庭でも外開きタイプのドアが使用されているので外開きタイプの玄関ドアが全国的に浸透しています。

そのため内開きタイプの玄関ドアは日本の住宅には浸透していません。海外から輸入した内開きタイプの玄関ドアを使用している住宅もありますが、ごくわずかでしかありません。しかしホテルや公衆トイレなどの公共施設では内開きタイプの玄関ドアが多く使用されています。

輸入品は内開きもあるが日本の玄関ドアは外開き

日本の住宅はほとんどが外開きタイプの玄関ドアになっています。ではなぜ日本は外開きタイプの玄関ドアが多いのでしょうか?それは日本人の玄関で靴を脱ぐという風習が関係しています。

靴を脱ぐスペースを確保しなければならない

日本人は昔から住宅へ入る時は床が汚れないように玄関で靴を脱ぎます。逆に欧米の住宅にはそのような文化は無いため土足でそのまま入ります。内開きタイプの玄関ドアだとたたきと呼ばれる靴を脱ぐ場所へ向かって扉を動かすので、たたきのスペースを確保出来なくなってしまいます。そのため靴を脱ぐスペースを確保するためにも外開きタイプの方が都合がいいと言えます。これは日本人特有の考え方と言っていいでしょう。

公共施設では内開きタイプも使用されている

逆に靴を脱ぐ必要のない場面では、日本の建物であっても内開きタイプのドアが使用されています。例えばホテルの客室のドアが考えられます。ほとんどのホテルの場合、室内で靴を脱ぐ必要が無いのでドアが内開きタイプであっても全く問題ありません。

加えて客室のドアは廊下に面しています。そのため外開きタイプだとたまたまドアの目の前を通りがかった人にぶつかってしまう恐れがあります。また災害が発生した際も外開きタイプのドアだと、避難経路である廊下を潰してしまうことになるので命の危険にも関わってきます。

防犯機能に優れている

内開きタイプの玄関ドアは防犯にも優れています。例えば不審者が玄関から無理矢理入ろうとした場合、とっさに全体重をかけてドアを押し込めるので強い力でドアを塞ぐことが出来ます。しかし外開きタイプだと扉を引っ張る形になるので腕力でしかドアを塞げません。欧米では昔からこのような形での不審者の侵入が多々あったので、防犯効果を高めるためにも内開きタイプの玄関ドアが使用されています。

逆に昔の日本は引き戸が浸透しており、ドアに鍵すらついていませんでした。これは防犯よりも近所の人が立ち寄りやすい住宅であることを優先していたためであり、防犯への意識がそこまで強くない傾向にありました。

日本では内開きタイプは馴染みが無い

このように内開きタイプの玄関ドアは欧米の文化なので日本人にはあまり馴染みがありません。そのため新築の設計やリフォーム時であっても、玄関ドアは基本的に外開きタイプを設置することが多いです。中には内開きタイプの玄関ドアに対応しているリフォーム業者もいますが、全ての業者が対応しているわけではありません。もし内開きタイプの玄関ドアを自宅に設置したいのであれば事前に業者に問い合わせる必要があります。

やはり馴染み深い外開き玄関ドアがおすすめか!?

開き戸タイプの玄関ドアには外開きタイプと内開きタイプの2種類があります。自宅の玄関ドアがどちらのタイプであってもリフォームによって変更させることは出来ます。しかしどちらのタイプの玄関ドアがいいかと聞かれたら外開きタイプの玄関ドアを推奨します。

外開きタイプならたたきのスペースを確保できる

内開きタイプの玄関ドアは開く際にたたきの部分に扉が入り込んでしまうので、靴の置き場所が無くなってしまいます。基本的に玄関のたたきにそこまで大きなスペースを確保する住宅は少ないので、内開きタイプの玄関ドアだと置いてある靴が邪魔になってしまいます。そのため玄関のスペースを有効活用するためには外開きタイプがおすすめです。

雨風の侵入も防げる

内開きタイプだと雨や風によって雨や風を室内へ入れてしまうことになります。また玄関ドアに大量の雨水が張り付いているくらいの大雨が降っている時に扉を内側に動かすと扉に張り付いた雨水が室内に入って来てしまいます。そのため外開きタイプの方が雨風の侵入を防ぐことが出来ます。

緊急時でも即座に外へ出れる

外開きタイプの玄関ドアのメリットは他にもあります。それは「中から外へ出る時の動作が少ない」事です。内開きタイプの玄関ドアの場合、ドアを内側に引っ張らないといけないので玄関を立ち止まらなければなりません。しかし外開きタイプの場合ドアノブを持ってドアを外へ押し出すだけなので止まらずに外へ出ることが出来ます。

これは災害時に大きな効果を発揮します。火災や地震が発生した際は室内が危険な状態になるのでいち早く外へ逃げる必要があります。そのため玄関ドアを開けるのにもたついてしまったら命の危険に関わってきます。外開きタイプの玄関ドアならそんな時でもスムーズにドアを開けられるので危険を回避することに優れています。

中村建硝では外開きタイプのみ

ちなみに中村建硝で取り扱っているリフォーム用の玄関ドアは全て外開きタイプの玄関ドアになっています。内開きタイプの玄関ドアのリフォーム及び外開きから内開きへの変更は行っていません。

またその他のリフォーム会社なら内開きタイプの玄関ドアを取り扱っていることはあります。しかし商品自体は国産ではなく海外産を取り寄せて設置する形になるので費用は高くついてしまいます。そのため余程強い要望やこだわりが無い限りは、外開きタイプの玄関ドアをおすすめします。

まとめ

内開きタイプは不審者の侵入を防いだり、公共施設のドアに適しているというメリットがあります。しかし住宅の玄関ドアとなるとたたきのスペースを確保するためや、災害時のスムーズな脱出が可能となる外開きタイプがおすすめです。内開きタイプの玄関ドアの魅力を考えて、内開きタイプにリフォームする方も中にはいます。しかし内開きタイプを取り扱っているリフォーム会社も少ないのが現実なのでまだしばらくは外開きタイプの玄関ドアが主流であり続けるでしょう。

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著者情報

マイスター社長 中村 貴

中村 貴

玄関ドアマイスター社長
二級建築士
株式会社中村建硝(昭和5年創立)の三代目
建具のプロとして、当店のスタッフの知識と技術はどこにも負けないという自負があります。お客様の暮らしを快適にし、お悩みを解決することで社会に貢献したいと思っています。

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