カバー工法での玄関ドアのリフォームの際には、リフォーム用の玄関ドアと交換します。玄関ドアを交換しようと検討中に、玄関ドアのメーカーサイトを検索すると、たくさんのドアが紹介されています。ところが、気に入ったドアを見つけても、リフォーム用でなければ、カバー工法では交換できません。カバー工法以外でリフォームする新築用のドアと、リフォーム用のドアには、どのような違いがあるのでしょうか?また、リフォーム用のドアには、どのような種類があるのでしょうか?
リフォーム用玄関ドアはカバー工法に適して作られた玄関ドア
新築用玄関ドアと、リフォーム用玄関ドアの大きな違いは、取り付け方の違いです。新築用の玄関ドアは、間口の幅や高さなど、何も決まっていないところから取り付けられるので、ドアのサイズに制限がありません。
しかし、リフォームの場合には、既に間口と高さが決まっています。壁を壊さずにリフォームする場合には、間口のサイズに合わせなくてはなりません。そこで、リフォーム用の玄関ドアが採用されます。リフォーム用の玄関ドアは、古い玄関ドアを取り外した後、現在の枠のサイズにぴったり合う枠を被せ、その上で新しい玄関ドアを取り付けます。この方法は、窓にも採用されているカバー工法という工事の方法です。
カバー工法が開発される以前は、窓もドアも、交換するためには、壁を壊さなくてはなりませんでした。壁を壊す工事には、大工、建具やクロス、タイルなどの職人、電気工事など、多くの専門職人がかかわります。その結果、費用は100万円以上、期間も5日以上かかります。見積もりや支払いも、それぞれの専門職人ごとにとったり支払ったりしなくてはならないので、手間も相当かかります。その為、カバー工法が開発される以前は、玄関ドアが経年劣化しても、交換することは、ほとんどありませんでした。
カバー工法の場合は、ドアのサイズや機能によって差は出ますが、20~40万円の間で、現在のドアとは比較にならない性能を備えたドアに交換できます。そしてリフォーム用玄関ドアは、このカバー工法に対応するように作られたドアなのです。現在の枠のサイズに合わせて新しい枠と玄関ドアを作成するので、現在の間口にぴったりと仕上がります。
ただ、カバー工法には、デメリットもあります。新しいドア枠を被せる為、幅が5センチ、高さが約3センチ程度、玄関ドアのイズが小さくなることです。しかし、カバー工法での玄関ドアリフォームには、それを補って余りあるメリットがたくさんあります。メリットの一つは、防犯性が向上することです。防犯性の高い鍵は、ドアの価格に関係なく、どのドアにも標準装備されています。断熱性が高くなる、風が通るようになるという機能のドアは、非断熱、通風なしのドアより、価格は高くなりますが、家の中の環境に非常に良い影響があります。
リフォーム用玄関ドアの機能
リフォーム用の玄関ドアには、標準装備されている機能と、ドアの選び方で変わる機能があります。
どのドアにも標準装備されている防犯性能
玄関になくてはならない機能は、空き巣狙いや不審者を家の中に侵入させないことです。ところが、侵入強盗犯の手口は年々進歩しているため、古い玄関ドアはその役目を果たせていません。カギを閉めたから大丈夫ということはなく、簡単に開錠して、侵入してしまいます。
新しい玄関ドアには、細心の防犯対策がされているので、玄関ドアリフォームをすると、家族の安全が守れます。
標準装備されている対策
- ピッキング対策 2ロック、不正解錠しにくいシリンダー、耐ピッキング性能は10分以上。耐カム送り解錠性能は5分以上のディンプルキーで、ピッキングを防ぎます。
- こじ破り対策 鎌付デッドボルトによってこじ破りを防ぎます。
オプション
- ガラス破り対策 防犯合わせ複層ガラスによって、ガラスを割って侵入する手口を防ぎます。
選べる機能ドア
リフォーム用玄関ドアには、非断熱のアルミドアと、断熱ドア、通風ドアがあります。非断熱ドアに通風を組み合わせる、断熱と通風を組み合わせるなど、様々なタイプがあります。最近、人気が高いタイプは、断熱+通風ドアです。
断熱ドア
ドア本体に断熱材が充填されていて、袖や欄間などのガラス部分には、複層ガラスが使われているドアです。比較的温暖な関東地方には、複層ガラスが使われたタイプの他に、断熱性が高いLow-E複層ガラスと、断熱枠が使われたタイプがあります。
LIXILリシェントの複層ガラスが使われたタイプは、K4仕様、Low-E複層ガラスと、断熱枠が使われたタイプは、K2仕様、YKKAPドアリモの複層ガラスが使われたタイプは、D4仕様、Low-E複層ガラスと、断熱枠が使われたタイプは、D2仕様です。
北海道などの極寒の地域には、さらに厚みのある本体と断熱部材が組み合わされた高断熱仕様があります。
断熱ドアは、熱の出入りを抑えるので、冬玄関内が冷え込んだり、夏玄関内が暑くなったりする状況を改善します。また、結露を軽減するという効果もあります。
家中の窓が断熱化されていれば、断熱ドアとの組み合わせで、家全体の断熱性能が抜群に向上します。開口部全体の断熱化は、外壁や屋根の断熱よりも効果が高く、安価で、短期間で実現できる最良の断熱リフォームです。しかも、グリーン住宅ポイントの対象にもなります。
開口部全体が断熱化されると、家の中に冷暖房をしている場所としていない場所、冷暖房をしている時間帯としていない時間帯の温度差が抑えられ、健康的で快適な室内環境が調います。
通風・採風ドア
ドア本体、または袖や子扉に、風を通す縦長の窓がついている玄関ドアです。この窓は、LIXILリシェントでは採風部分、YKKAPドアリモでは、通風機構と名付けられています。
どちらのメーカーも、断熱ドアと非断熱ドアでは、窓の開閉方法が異なります。断熱ドアは内開きのスリットタイプ、非断熱ドアは上げ下げタイプです。
虫の侵入を防ぐ網目の細かい網戸が備えられていること、侵入防止に有効なサイズで、ガラス部分に格子があしらわれていること、2ロックであることも共通する特徴です。
YKKAPドアリモの特徴は、断熱仕様であれば、すべてのデザインの親子ドアに通風子扉が用意されていることです。ドア本体にガラス部分がないデザインを選んでも、通風子扉を組み合わせると、風が通る玄関ドアにできます。
玄関内の蒸し暑さ、嫌なニオイ、カビなどが改善される他、玄関からの風は2階の窓へと抜けていくので、家中の換気が良くなります。
リフォーム用玄関ドアにつけられるリモートキー
リフォーム用の玄関ドアには、オプションでリモートキーがつけられます。リモートキーは、車のキーのように使えるキーで、玄関の利便性を高め、防犯性を向上させる効果があります。
リモートキーの利便性に魅かれ、現在使っている玄関の鍵だけ、リモートキーにしたいと考えている人も多いと思います。でも、もし、築20年以上の住宅であれば、見栄えも、玄関内の環境も向上する玄関ドアの交換をする際に、リモートキーをつけることをお勧めします。
リモート―キーには、メーカーによって共通する部分と、異なった特徴を持つ部分があります。
リモコンとカードから選べる部分は共通していますが、LIXILリシェントには、シリンダーがカバーに覆われているタイプのS型ハンドル以外のハンドルであれば、手動キーと併用できる、どのハンドルであっても、リモコンキーとカードキーは併用できないという特徴があります。YKKAPドアリモには、リモコンキーとカードキーは併用できるが、手動キーとは併用できないという特徴があります。
ご家族の中に、手動キーを使う人がいる場合にはLIXILリシェント、リモコンキーとカードキーを併用したい場合には、YKKAPドアリモが向いています。
玄関ドアのリフォームは、掃除をしてもきれいにならなくなった、開閉しにくくなったなどの経年劣化によるお悩みを解決し、リモコンキーにしたい、夏涼しく冬暖かい玄関にしたい、風通しの良い玄関にしたい、防犯性を高めたいなどの玄関ドアへの希望を叶えます。
さらに、リフォーム用の玄関ドアでのリフォームなら、カバー工法でできるので、費用も価格も抑えられます。玄関ドアの交換は、壁を壊す方法ではなく、リフォーム用の玄関ドアを使うカバー工法ですることをお勧めします。