オール樹脂サッシについて調べると、色々なところで「後悔した」「失敗だった」という口コミを見かけますが、これは本当ですか?
断熱性が高い窓として広く知られているオール樹脂サッシですが、実は新築住宅に採用される割合はたった30%くらいしかありません。
今回は年間500件以上の窓リフォームを手がける“玄関ドアマイスター”が、「オール樹脂サッシ」よくある後悔の理由5つと、窓選びを後悔しないためのポイントを紹介します。
窓リフォームで使えるお得な補助金情報も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
オール樹脂サッシは「断熱性能」特化型の窓|日本と世界の普及率

>施工事例:築30年以上の家におすすめ!雨戸付きの古い窓を「LIXILリプラス引違い窓」に交換した事例
オール樹脂サッシとは、フレームのほとんどが樹脂製の窓で、「暑さや寒さをほとんど感じない」「結露しない」という口コミで注目されています。
オール樹脂サッシは、断熱性能に特化した窓で、その理由は、原料の熱伝導(熱貫流)率にあります。熱伝導率とは「熱の伝わりやすさ」を表す指標で、数値が高いほど暑さや寒さを通すので断熱性能が低いということを意味します。
| 素材 | 熱伝導(熱貫流)率 |
|---|---|
|
塩化ビニル |
0.17W/mK |
|
アルミニウム合金 |
200W/mK |
アルミサッシの原料であるアルミニウム合金と、オール樹脂サッシの原料である塩化ビニルの熱伝導率を比べると、塩化ビニルの方が1/1000ととても低く、それゆえにオール樹脂サッシはアルミサッシやアルミ樹脂複合サッシよりも断熱性能が高いとされています。
ところが、一部の寒い地域を除くと、既存住宅のリフォームへ採用されるケースはあまりなく、新築住宅と合わせても採用率は30%台、関東エリアでは20%を下回っているのが現状です。

(国土交通省|「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」ヒアリング資料、樹脂サッシ工業会、住宅金融支援機構|フラット35住宅仕様実態調査報告のデータを基に弊社で作成))
なかなかオール樹脂サッシの普及が進まない日本と比べると、アメリカは普及率が67%、韓国は80%ほどと高水準を維持しています。

(引用:樹脂サッシ工業会)
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オール樹脂サッシとその他窓サッシとの違い

>施工事例:【補助金対応】内窓より便利な外窓交換とは?築30年以上の寒い家を改善
オール樹脂サッシとよく比較されるのが「アルミ樹脂複合サッシ」です。
アルミ樹脂複合サッシとは、サッシ枠の屋外側がアルミ製、室内側が樹脂製のハイブリッド窓で、アルミの欠点である熱伝導率の高さを樹脂の高断熱性能でカバーしています。
ではここで、窓サッシの種類別に熱伝導率を比較してみましょう。

(引用:樹脂サッシ工業会)
アルミサッシと単板ガラスを組み合わせた窓の熱伝導率を「1」とすると、アルミ樹脂複合サッシとLOW-E複層ガラスを組み合わせた窓は「1/2.8」、オール樹脂サッシとLOW-E複層ガラスを組み合わせた窓は「1/3.8」ほどの熱伝導率です。
これは、アルミサッシと比べるとアルミ樹脂複合サッシの断熱性能は約2.8倍、オール樹脂サッシの断熱性能は約3.8倍にもなるということを意味します。
窓の断熱性能はサッシの種類だけではなく、ガラスの種類に大きく依存します。そのため、アルミサッシ・アルミ樹脂複合サッシ・オール樹脂サッシの枠だけで断熱性能を比較してもあまり意味がありません。窓の断熱性能を評価する際には、必ずガラスの種類も確認しましょう。
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オール樹脂サッシを後悔する理由5つ

オール樹脂サッシを後悔する理由は、主に5つあります。
値段の高さ
オール樹脂サッシは人気のアルミ樹脂複合サッシと比べると、同じガラスを組み合わせても「1.3〜1.4倍」くらいの価格です。
1ヶ所だけでしたら数万円の差で済みますが、窓を5ヶ所10ヶ所と交換すれば、その差は数十万円になります。
「断熱性が高ければ値段が高くてもその分光熱費を抑えられて長期的に得」「枠の断熱性が低いと結露する」などのセールストークも聞きますが、標高が高い山岳地域や雪がたくさん降る北海道や北陸地方をのぞいて、オール樹脂サッシもアルミ樹脂複合サッシも体感的な断熱効果にほとんど違いはありません。
厳密にいうと、新築住宅で壁・床・屋根など全て高断熱仕様であれば、オール樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシで断熱性能に差が出ますが、既存住宅で窓だけリフォームしても違いはあまり現れないというのが正しいでしょう。
そのため、ハウスメーカーや窓の工事業者に勧められるがまま、窓リフォームでオール樹脂サッシを選び、後悔する方は珍しくありません。
経年劣化・色あせ
窓の断熱性アップを目的に採用されるオール樹脂サッシですが、取り付けてから早ければ5年以内で色あせが目立つ可能性があります。
その原因は、樹脂サッシの原料である塩化ビニルと紫外線の化学反応です。
塩化ビニルは紫外線に長時間さらされると、表面が風化して白っぽくなったり細かいヒビが入ったりします。
黒やダークブラウンなど濃い色の樹脂サッシは、特に色あせが目立ちやすいので注意しましょう。
LIXILやYKKAPなど大手メーカーでは、オール樹脂サッシの材料にプラスチック素材の中でも耐候性が高いものを採用していて「色あせにくい」としていますが、それでも実際の現場では写真のように短期間で色が落ちるケースは全然珍しくありません。

開閉の重さ
塩化ビニルとアルミニウム合金の比重を比べると、アルミニウム合金は塩化ビニルの約2倍の重さがあります。
ただ、ここでポイントになるのが「比強度の違い」です。
比強度とは質量あたりの強度を指して、比較的強度が高いアクリル樹脂でも、アルミニウム合金の1/6くらいしかありません。
| 素材 | 比重・比強度 |
|---|---|
|
塩化ビニル |
|
|
アルミニウム合金 |
|
そのため、樹脂の割合が多いほど強度を確保するためにフレームの重量を大きくする必要があります。
結果的に、アルミ樹脂複合サッシはアルミサッシよりも重く、オール樹脂サッシはアルミ樹脂複合サッシよりもさらに重くなるという訳です。
また、オール樹脂サッシには高断熱なトリプルガラスを組み合わせるケースが一般的で、それがさらに窓を重くする要因になります。
開口面積が大きい窓をオール樹脂サッシにする場合は、前もってショールームなどで開け閉めを体感しておくのがおすすめです。
サッシフレームの太さ
樹脂とアルミでは強度に大きな差があり、窓サッシの強度を確保するためには部材を太くする必要があります。
大きな窓だとフレームの太さはそんなに気にならないかもしれませんが、腰窓サイズでは見た目が重くなり、さらに小さい窓だとガラス面積が狭くなることによって採光効果や通風効果が下がります。

(画像引用:LIXIL|樹脂窓EW、LIXIL|高性能窓TW)
ガラスの種類ごとに異なる断熱効果
外気温の影響を受けやすい大きい窓ほど、開口面積に占めるガラス面積の割合は高くなります。
そのため、結局、窓の断熱性能はサッシ枠よりもガラスの種類によって影響するのです。
| ガラスの種類 | 熱伝導(熱貫流)率・日射熱取得率 |
|---|---|
|
一般的な複層ガラス |
|
|
Low-E複層ガラス(クリア) |
|
|
アルゴンガス入りLow-E複層ガラス |
|
|
複層真空ガラス |
|
|
トリプルガラス(クリア) |
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窓選びを失敗しないためのポイント

>施工事例:古いルーバー窓は危険?LIXIL「リプラス」で快適・安心リフォームする理由
窓選びを失敗しないためのポイントを紹介しますので、これから窓をリフォームしたいという方は、ぜひ参考にしてください。
お金はサッシではなくガラスにかける
窓の断熱性能はサッシ枠よりもガラスで大きく変わります。
予算に限りがなければ、一番断熱層性能が高いオール樹脂サッシに高断熱ガラスを組み合わせるのがベストですが、コスパを重視される場合は「サッシ枠よりもガラスに費用をかけるプラン」をおすすめします。
最近は、断熱性も防犯性も高い「アルゴンガス入りLow-E安全合わせ複層ガラス」が人気です。

(画像引用:LIXIL|防犯合わせ複層ガラスと一般の合わせ複層ガラスの違い)
関東より西のエリアではアルミ樹脂複合サッシの外窓がおすすめ
比較的気候が安定している関東より西のエリア※では、既存住宅の外窓をオール樹脂サッシに変えると多少“やりすぎ”の可能性があります。
※山岳地域を除く
実際に、地域別のオール樹脂サッシ採用率を見ると、寒さが厳しい北海道の一部地域では100%であるのに対して、関東圏から西のほとんどのエリアでは35.2%と、急に割合が下がります。

(画像引用:LIXIL|省エネ基準)

(住宅金融支援機構|フラット35住宅仕様実態調査報告のデータを基に弊社で作成)
「35%も採用されている」ともとれますが、これは家が丸ごと高断熱仕様である新築住宅が大半で、既存住宅のリフォーム事例では5%以下とも言われています。
多くの既存住宅における窓リフォームで、アルミ樹脂複合サッシが選ばれている理由は主に2つあります。
- 屋外側が紫外線に強いアルミ製なので、劣化しにくい
- アルミ樹脂複合サッシの方が樹脂サッシより2〜3割くらい価格が安い

関東甲信越より西のエリアはそれほど寒くならないだけではなく、オール樹脂サッシの劣化につながる紫外線分布量が多い点もポイントです。

(引用:気象庁|日本付近の紫外線分布|8月の正午の日本付近のUVインデックス分布図)
オール樹脂サッシは内窓がおすすめ
オール樹脂サッシは断熱性が高いものの紫外線の影響を受けやすく、外窓では費用が高くなります。
そこでおすすめなのが、内窓にオール樹脂サッシを採用するプランです。
外窓の寿命は20〜30年程度なので、まだ築年数が浅いお宅や既に外窓を交換しているお宅は、樹脂製の内窓を設置する方法も選択肢に入れてみましょう。
オール樹脂サッシはアルミサッシよりも材質が柔らかいので、窓を閉めた時の気密性が高くて防音・遮音効果が高くなる可能性がある点もポイントです。
安全合わせ複層ガラスは、防犯効果があるだけではなく、騒音をカットする性能もあります。
(参考:LIXIL|騒音カット効果のあるガラス)
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窓リフォームするなら2025年がチャンス!費用目安とお得な補助金情報

2025年度は、窓を断熱リフォームするチャンスの年です。
全国の方が対象の「先進リノベ2025事業」と、東京都に家をお持ちの方限定の「既存住宅における省エネ改修促進事業」と2つの補助金事業を利用できるからです。
どちらの事業も窓の断熱性能グレードとサイズによって補助額が変わりますが、「先進リノベ2025事業」では1カ所につき最高22万円、東京都の「既存住宅における省エネ改修促進事業」では1カ所につき最高11万円も補助金をもらえます。
東京にお住まいの方なら1つの工事で2つの補助金を両方もらえるので、窓1カ所につき最高で33万円ももらえるということです。
(参考:令和7年度既存住宅における省エネ改修促進事業(高断熱窓・ドア・断熱材・浴槽)助成金申請|よくある質問Q&A)
ここで気になるのが、実際にどのくらいの費用がかかるのかという点ですよね。
| 窓の種類 | 費用・補助額 |
|---|---|
|
【内窓】 LIXILインプラス |
通常の費用:約14.8万円/ヶ所 先進的窓リノベ2025:−4.4万円 東京都省エネ改修促進事業:−2.9万円 実際の負担額:約7.5万円/ヶ所 |
|
【外窓】 LIXIL リプラス |
通常の費用:約30.3万円/ヶ所 先進的窓リノベ2025:−11万円 東京都省エネ改修促進事業:−7.3万円 実際の負担額:約12万円/ヶ所 |
※引き違い(2枚)幅1800mm・高さ1200mmの場合の税込価格(100円以下は四捨五入)
※上記金額は、玄関ドアマイスターにご依頼いただいた場合の税込価格です(2025年10月時点)
2つの補助金をうまく活用すれば、外窓の交換や内窓の設置が通常の半額程度で実現できる可能性があります。
ただし、「先進的窓2025事業」は、2025年12月31日までに工事を終わらせて補助金の交付申請を済ませる必要があり、東京都の「既存住宅における省エネ改修促進事業」は、2026年3月31日までに事前申し込みを済ませて、受付通知をもらってからの着工になります。
予算がなくなり次第申請受付が早めに締め切られる可能性もありますので、窓のリフォームを検討している方は、本格的に寒くなる前に計画を進めましょう。
玄関ドアマイスターのホームページでは、内窓・外窓、さらに玄関ドアや勝手口ドアのリフォーム費用と補助額がわかる「無料見積もりサービス」をご利用いただけます。お名前・ご連絡先・ご住所の入力は必要ありませんので、ぜひご活用ください。
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まとめ

オール樹脂サッシは、断熱性の高さが魅力ですが、高い価格などいくつか気になる点があります。
また、関東エリアなどそれほど寒くならない地域の既存住宅には、オール樹脂サッシほどの高い断熱性能は必要ないかもしれません。
2025年度は、窓をリフォームする大チャンスの年です。
「どんな窓リフォームがいいか知りたい」という方は、東京・千葉・茨城・埼玉・神奈川・栃木で多数の窓リノベ実績がある昭和5年創業の「玄関ドアマイスター」にご相談ください。
私たち「玄関ドアマイスター」は、“昭和5年の創業”の窓・玄関ドア・勝手口ドア直販会社です。自社スタッフによる高品質な施工と対応・どこにも負けない明瞭価格・安心のアフターサービスの3点が揃っています。





