具体的にはどのような方法で玄関をバリアフリーにできるのか、どの程度の広さがあればできるのか、どのような補助金が使えるのか、費用はどの程度かかるのか、DIYでできるのか…?などの疑問について考えていきましょう。
玄関内部をバリアフリーにするリフォーム
日本の住宅の玄関にはほとんどの場合、靴を脱ぎ履きする為の土間があり、室内に泥を持ち込まない為、上がり框で室内の床との段差がつけられています。この段差を昇り降りしやすくして、玄関内部をバリアフリーにする為にはどのような方法があるでしょうか?
スロープを設ける
土間から室内の床までを斜面にしたり、段差をなくしたりすると車椅子に乗ったまま、室内に移動できます。斜面を作るためにスロープを設ける方法では、勾配をゆるくする為に、玄関の広さが必要です。
段差をなくす工事は、広い面積は問われませんが、かさ上げするので大掛かりなリフォーム工事になってしまいます。スロープを設ける場合の費用相場は10~20万円、土間をかさ上げして段差をなくす工事では、上がり框の高さにもよりますが、20~50万円程度かかります。
その為、車椅子での通行には介助用の移動式スロープや、段差解消リフトなどのレンタル用品が使われることが多いです。
上がり框は、子どもや高齢者には、腰かけて靴を脱ぎ履きするという働きもすることを考えると、常時スロープにするよりも、車椅子を使わない時には上がり框があった方が良いでしょう。
踏み台と手すりを設ける
上がり框と土間の間の高さを段階的にする方法です。踏み台の奥行きを広くすると、小さな子どもが上がり框で、足を踏み外して転落する危険性が抑えられます。さらに手すりがあると、立ち上がる時や座る時に体を支えられます。
段差に踏み台を設けて階段のようにするリフォームの費用相場は5~10万円、壁に取り付ける手すりは1万5千円~2万円、床から立ち上げる手すりなら3~6万円です。
階段に設ける手すりや踏み台は、DIYで挑戦してみることもできますが、確実に取り付けないと、却って事故のリスクが増えてしまいますので、業者に依頼する方法が理想的です。
段差解消や手すりは介護保険の対象になりますので、他の対象項目と合わせて後ほど説明します。
玄関周りをバリアフリーにするリフォーム
段差のある玄関アプローチでは、その段差をなくす工事が必要です。この場合も、内部の段差と同じように敷地の広さが必要です。スロープの勾配がきついと車椅子での昇り降りが危険になってしまうからです。
敷地に余裕がない、段差が高いというような場合には、玄関アプローチから玄関内の上がり框までの移動式スロープを使うなどの方法も考えられます。コンクリートのスロープを設置するリフォーム費用の相場は、1㎡当たり1~1万6千円です。
玄関ドアをバリアフリーにするリフォーム
玄関ドアや引き戸を交換してバリアフリーにする方法は玄関の間口の幅によって変わってきます。
玄関ドアには、3尺系(片開きドア)、4.5尺系(親子ドア・袖付きドア)、6尺系(両袖ドア・両開きドア・袖付き親子ドア)という開き方タイプがあり、間口の幅が異なります。
出典:一般社団法人日本サッシ協会 住宅用サッシの関連法令・基準 住宅出入り口商品の寸法設定
親子ドア・袖付きドア
親子ドア |
袖付きドア |
親子ドアは、親扉と子扉が組み合わされているドア、袖付きドアは袖と子扉が組み合わされているドアです。戸建て住宅の多くは、このどちらかのドアが使われています。
どちらも4.5尺系なので、間口の内法基準寸法の幅は1195mm(入隅寸法規格サイズ1095mm)です。そしてどちらの開き方タイプであっても、親扉の幅は自由に変更できます。
子扉や袖の幅を狭くして、親扉の幅を広げると、通行の幅が拡がりバリアフリーに変えられます。
両開きドア
両開きドア
両開きドアは同じサイズのドアが2枚組み合わされているので、ドアの幅は変更できません。通行の幅を拡げたい場合には、両方のドアを開放します。
ただ、袖付き親子ドアに交換すると、親扉、子扉、袖の幅を調整できる為、親扉の幅を広げると、両方のドアを全開放することなく、通行の幅を拡げられます。
両袖ドア
両袖ドア
袖の幅を狭くして親扉の幅を拡げられます。
主要寸法の基本的な考え方
寸法 |
意味 |
80cm |
車椅子で通過できる寸法 |
90cm |
車椅子で通過しやすい寸法
通路を車椅子で通行できる寸法 |
120cm |
通路を車椅子で通行しやすい寸法
人が横向きになれば車椅子使用者とすれ違える寸法
杖使用者が円滑に通過できる寸法 |
140cm |
車椅子使用者が転回(180度方向転換)できる寸法
杖使用者が円滑に上下できる階段幅の寸法 |
150cm |
車椅子使用者が回転できる寸法
人と車椅子使用者がすれ違える寸法 |
180cm |
車椅子使用者が回転しやすい寸法
車椅子使用者同士がすれ違える寸法 |
出典:国土交通省 基本寸法
自走用標準型車椅子の幅は700mm以下、電動車椅子は700mmとされていますので、個人の住宅では、玄関ドアや引き戸の通行の幅が80cmあれば車椅子で通行できます。
玄関ドアから玄関引き戸へのリフォーム
両袖ドア・両開きドア・袖付き親子ドアなどの6尺系のドアは玄関引き戸に交換できます。通行の幅は扉1枚分なので、広がる訳ではありませんが、通行しやすくなるという利点があります。
また、玄関の間口の横の壁に十分な幅がある場合には、引き込み戸にすると、引き戸2枚分の通行の幅が得られます。引き込み戸とは、玄関の内側、又は外側の壁に沿って、引き戸が収納されるタイプの引き戸を指します。
一般的な2枚建て引き戸の場合、1枚の引き戸にもう1枚の引き戸を重ねて開くので、引き戸1枚分の通行の幅ですが、引き込み戸は間口いっぱいを通行の幅にできます。
また、1枚分の幅であっても、引き戸には複数のバリアフリーに向いている理由があります。
前方にデッドスペースが生まれない
玄関の扉は外開きです。その為、家に入る時には扉が前方に張り出してきます。荷物が少なく一人で通行する際には、それほど気になりません。ただ、車椅子や子どもを抱いている時はドアが邪魔になり、通行がし難いです。引き戸は横に滑らせて開けるので、邪魔にならず同じ通行の幅でも通行しやすい良さがあります。
開放したままにできる
玄関ドアは全開放しない限り、開放した状態にしておく為には、ドアを押さえていなくてはなりません。これも、大人一人の出入りには何の支障もありませんが、両手が塞がっている状態の時には通りにくいです。車椅子で通行する人にとっても、車椅子を介助する人にとっても、ドアを押さえつつ車椅子を動かさなくてはなりません。
引き戸なら、押さえていなくても自動的に閉じてしまう心配がないので、ゆったりと通行できます。
介護保険で受けられるバリアフリーの補助金
介護保険で受けられる補助金には、家族の介護の為に介護休業を取得した場合に受け取れる介護休業給付金、家族で介護している場合に受け取れる家族介護慰労金などの他に、バリアフリーにする為のリフォームで受け取れる居宅介護住宅改修費があります。
居宅介護住宅改修費の項目には、手すり設置、段差の解消、床材の変更・滑り止め設置、扉の取り換え、便器の取り換えなどの項目があります。
この中で玄関のバリアフリー化には、手すり設置、段差の解消、扉の取り換えが当てはまります。
介護保険を受ける為には、要介護認定で要支援・要介護の認定を受けている必要がありますので、地域のケアマネージャーさんに相談しましょう。
画像出典:厚生労働省 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について
ライフステージのどのタイミングにも役立つ玄関ドアのバリアフリー化
最後が介護保険のお話になってしまいましたが、玄関のバリアフリー化は、介護が必要な家族だけに役立つという訳ではありません。子育て期間には、子どもの安全に繋がり、大人にとっては子どもを抱いていたり、大荷物を持っていたりする時の玄関の使いやすさに繋がります。
また、大型の家電や家具の搬入時にも、玄関を通らないので窓から搬入するなどの大変さを回避できます。さらに、玄関ドアのリモコンキーは、鍵の施解錠の煩雑さをほとんどなくすので、バリアフリー化に役立ちます。
バリアフリー化は公共の場だけの話でもなければ、介護が必要な家族がいるご家庭だけの話でもありません。生活の利便性を向上させる為にも役立ちます。玄関ドアを交換してより玄関を使いやすくしませんか?玄関ドアのリフォームを検討する際には、お気軽にご相談ください。
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