玄関引き戸の防犯性を高める方法の1つに、「補助錠」を取り付ける方法があります。
補助錠は、主錠(メインの鍵)に加えて防犯のために取り付ける鍵です。古い玄関引き戸は1つのドアに複数の鍵を付ける「1ドア2ロック」になっていないことも多いので、補助錠で防犯性を高めたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、玄関引き戸におすすめの補助錠を紹介します。また、玄関引き戸自体を交換したほうが良いケースについても解説しますので、ご自宅の玄関の防犯性に不安を感じている方はぜひ参考にしてくださいね。
玄関引き戸に補助錠を付けるメリット
補助錠は、「施錠開け」と呼ばれる、キー以外で鍵を開けて侵入される手口での侵入に対して有効です。1つのドアに錠が2つ以上付いていると、侵入に時間を要するためドロボーは嫌がります。
令和3年の空き巣被害は無締り(鍵をかけていない家に侵入)が最も多い結果でした。しかし、ピッキングやサムターン回し等、痕跡の残りにくい施錠開けの手口が無締まりに分類されている可能性も指摘されているため、ピッキングやサムターン回しに対する防犯対策も重要です。
<令和3年一戸建ての侵入窃盗の手口別認知件数(空き巣・忍込み・居空きの合計)>
- 無締り…6,898件
- ガラス破り…3,582件
- 施錠開け
ピッキング…5件
サムターン回し… 33件
合い鍵…229件
その他…347件 - ドア錠破り… 186件
- 戸外し…58件
- その他…575件
- 不明…713件
(出典)警察庁「刑法犯に関する統計資料」より抜粋
「1ドア2ロック」で得られる効果
ピッキング・合鍵による侵入に強くなる
ピッキングは、ピッキングツールと呼ばれる特殊な工具を使ってシリンダーを回して鍵を開ける手口です。DIYで玄関に取り付けるピッキング対策用補助錠は、ピッキングしにくいディンプルキータイプが主流です。
現在の玄関引き戸の鍵が1つで、ピンシリンダーやディスクシリンダーの場合は、1分もかからずに開錠されてしまう可能性がある危険な状態です。ディンプルキータイプや、そもそもピッキングができないカードキーや暗証番号タイプの補助錠を付けることでピッキング対策ができます。
そして、合鍵による侵入を防ぐには、合鍵を作成しにくい鍵を使うことです。シリンダーキーは鍵の番号と写真だけでインターネットで合鍵を作れるため、防犯性は非常に低いです。ディンプルキーは凹凸の配列の組み合わせが数億以上ある特殊な形状のため、合鍵を作りにくい鍵です。
開錠までの時間が長くなり侵入を諦めさせる
主錠に加えてもう1つの鍵があることで、ピッキングにかかる時間も単純に2倍になるため、開錠までに時間がかかります。一般的に、ピッキングに10分以上かかると空き巣は侵入を諦めるとされています。
また、空き巣の手口である「ドア錠破り」は、ドアと壁の隙間にバールなどの工具を押し込み、てこの原理でドア錠を破壊して侵入する手口で、最新の統計でも一定の被害があります。強引な方法ですが、通常のドアや錠では短時間で侵入されてしまいます。複数の鍵があればこじ開けに時間がかかるため、ドア錠破りに対しても補助錠は有効です。
防犯対策している家と警戒させる
補助錠がドアの外側に見えるタイプは、「鍵が複数付いている」ということが視覚的に分かります。空き巣に対して、防犯対策している家で、手間が掛かり侵入しにくい家であることをアピールできます。
玄関引き戸に取り付けられる補助錠の種類
取り付けのタイミングによる分類
①先付けタイプ
引戸の設置やリフォーム工事と同時に取り付けるタイプの補助錠です。2枚建ての引き戸の場合は、
- 2枚の扉の間に付ける召し合わせ錠と、扉と戸当りや柱を留めるように付ける戸先鎌錠を付ける
- 戸先の上下に2つの鎌錠を付ける
などの「ダブルロック」にすると防犯性が高まります。
リクシルのリフォーム用玄関引き戸「リシェント」の場合は、2ロックを標準装備し、シリンダー自体が不正解錠しづらい構造なのでピッキングなどによる「施錠開け」対策に効果的です。ディンプルキーが標準の他、リモコンキーやカードキーも選べます。
また、サムターンを動かしても開錠できないようにする「セキュリティサムターン」も標準仕様のため、サムターン回しによる侵入も防げます。
②後付けタイプ
既存の玄関引き戸に後付けで取り付けるタイプの補助錠です。ドアやドア枠に穴を開けて取り付けたり、粘着テープで貼り付けたりなど、工事不要でDIYで設置できるものが多いです。
ドアに穴を開けるタイプは、正確性が必要ですが一度取り付ければ外れにくくなります。粘着タイプは気軽に設置できますが、テープの劣化などで外れてしまう可能性があるのがデメリットです。
また、戸先鎌錠や召し合わせ錠を後付けで取り付ける方法もあります。戸先鎌錠は、戸の厚みや素材などによって取り付けできる鍵が決まっているものが多く、戸と柱への彫り込みの正確性も必要なため、DIYで新規に取り付けるには難易度が高い鍵です。
2枚の戸の中央に取り付ける召し合わせ錠は、ドアの厚みが合っていれば、ほとんどの鍵が取り付け可能です。戸に開ける穴の位置を合わせれば良いので、戸先鎌錠よりはDIYでの取り付け難易度は低いです。
どちらの鍵も、戸や柱への加工が必要なため、後付けしたい場合は専門業者に依頼した方が確実です。
取り付ける場所による分類
①屋外側に取り付けるタイプ
屋外側に取り付け、外から施錠するタイプの補助錠です。補助錠が外から見えるので、防犯対策していることをアピールできます。
ただし、室内側から鍵を開けられないタイプの場合は、家族が家にいると出られなくなってしまうデメリットがあります。補助錠の使い方を家族内で共有し、補助錠が閉まっていても、室内側から脱出できる非常用の機構があるタイプを選ぶなどでデメリットを解消できます。
②室内側に取り付けるタイプ
ドアの内側に取り付けるタイプの補助錠です。外から鍵が見えないため、ピッキングされにくく、不在かどうかを空き巣に知られにくいメリットがあります。内側からしか開けられないタイプの場合、外から帰ってきた家族が家に入れなくなってしまうのがデメリットです。ひとり暮らしの場合以外は、屋外側と同じく、非常用の開錠機構があるタイプを選ぶのがおすすめです。
③ドアと壁の間に取り付けるタイプ
鍵の形式ではありませんが、ガートプレートと呼ばれる、鍵のある部分の戸とドア枠の間の隙間を隠す防犯金物や、煙返し(けむりがえし)と呼ばれる戸と枠の隙間を全て覆い隠す部材をドアに付ける方法もあります。鍵(戸)と枠の隙間を塞ぐことで、バールなどで隙間からドア錠破りされるのを防げます。
機能による分類
補助錠は、ドアに対してどのような防犯対策をするかによっても最適な種類が変わってきます。
ピッキングや合鍵対策には、ディンプルキーやリモコン・カードキーなどピッキングしにくく、合鍵を複製しにくい補助錠を選ぶのが有効です。
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また、ピッキング以外にも、「サムターン回し」と呼ばれる、ドアに穴を開けて器具や手を入れ、内側にあるサムターン(つまみ)を回して開錠する侵入手口もあります。令和3年の侵入窃盗の認知件数統計では、ピッキングよりもサムターン回しによる被害の方が多かったというデータもあります。ドアと壁の間にスキマがある古い住宅は、簡単にサムターン回しを許してしまう可能性があります。
サムターン回しを防ぐ防犯グッズとして、サムターンガードと呼ばれる、サムターンの上からかぶせるタイプの器具があります。
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このような場合は引き戸の交換をおすすめします
玄関引き戸の防犯性を高める方法として補助錠は非常に有効です。
しかし、そもそも戸やガラスの耐久性が低い古い玄関引き戸の場合は、補助錠でピッキングなどで鍵を開けられてしまう手口の対策はできますが、それ以外の錠破りや戸外しなどの強引な手口には依然として脆弱なままになってしまいます。
また、建て付けが悪かったりドア枠に歪みが生じている場合は、引き戸の隙間が大きくなるため、その隙間からこじ開けられやすい状態です。
古い引き戸や鍵の締まりにくい、隙間の多い引き戸の場合は、引き戸自体を交換する方法がおすすめです。
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