日本の住宅では、昔から玄関には引き戸が使われてきました。今の住宅は開き戸の玄関ドアも増えてきましたが、使いやすさから引き戸を好む人もたくさんいます。
ただし、古い玄関引き戸は防犯性が低いものが多いので、ドロボーから家を守るためには鍵を交換したり、ドア自体を交換することをおすすめします。
今回は、
「引き戸の劣化で鍵がうまくかからなくなってしまった」
「今よりも防犯性が高い引き戸用の鍵に変えたい」
「鍵だけを交換する場合と、玄関ドア自体を交換する場合で防犯性がどれくらい変わってくるのか知りたい」
このような悩みをお持ちの方に、YKKAPの玄関引戸を例に、玄関引き戸の鍵の種類や交換方法、DIYでの対応方法などについて解説します。
玄関ドアマイスターで施工した玄関引き戸の交換によって、既存のドアと比べて防犯性がどれくらい高まったのか実例も紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
玄関引き戸の種類
まずはじめに、玄関引き戸の種類を簡単に紹介します。引き戸のタイプによって、使われている鍵も変わってきます。
引き違い戸
引違い戸は、複数の戸を左右どちらにも移動して開けられる引き戸のことです。開口部の幅の広さによって、戸の枚数が2枚建、3枚建、4枚建などのバリエーションがあります。左右どちらからも入れるのがメリットです。
片引き戸(1枚、2~3枚)
片引き戸は、1本のレールの上で左右どちらかにスライドさせて開けるドアのタイプです。片引き戸の中にも、玄関の中に引き込む内引き込みタイプと、外壁の方に引き込む外引き込みタイプ、ガラスを組み合わせた袖付きタイプなどの種類があります。
製品によっては、2~3枚の戸を連動させて開け閉めできるタイプの片引き戸もあります。ベビーカーや車椅子など、幅の広いものを出し入れしたいときに便利なタイプです。
両引き戸(引分け戸)
両引き戸は、1本のレールの上の2枚の戸が左右に動いて開閉するタイプの引き戸です。開口部が大きく、出入りがしやすいのがメリットです。
玄関引き戸の鍵の構造
玄関引き戸の鍵は、戸の枚数によって構造や鍵の位置が違います。
1枚戸の場合
1枚戸の片引き戸の鍵は、戸の端部分にある鎌状の金具を、柱・戸当りに彫り込んだ受け穴に引っ掛けることで施錠する「戸先鎌錠」が一般的です。「引き戸錠」や「引手錠」とも呼ばれます。錠前が小さいため戸枠にとりつけやすく、主に引き戸で使用されています。
最もシンプルなタイプの鍵で、戸を閉めると鍵前が内側に隠れて見えなくなるので、防犯性が高いのがメリットです。
戸先鎌錠は、引き戸と柱側のパーツで1セットになっているため、引き戸側の凸部分の錠と、柱側に彫り込んだ凹部分が少しでもずれると鍵が締まりません。取り付け時は正確に調整する必要があり、DIYで交換するには難易度が高い鍵と言えます。
2枚戸の場合
2枚の戸で構成される引き違い戸は、2枚の戸をつなぐように留める「召し合わせ錠(引き違い戸錠)」が一般的です。
2枚の戸のうち、1枚目に設置されている召し合わせ錠の金具を、2枚目に設置されている召し合わせ錠の金具に差し込んで施錠するというシンプル形状の鍵になります。外側からは鍵で、内側からはつまみの上下動作で施錠できます。
召し合わせ錠のメリットは、戸先鎌錠と比べてDIYでも取り付けや交換が比較的簡単にできることです。しかし、錠前が見えるので、鍵ごと取り外されてしまう防犯上の危険性もあります。
そのため、最近の引き違い戸は、ピッキングによる鍵破りを防ぐため、室内側からは召し合わせ錠に加えて、戸当り(柱)など2箇所以上で施錠できるようになっているものが主流です。
玄関引き戸の鍵の形状の種類
玄関引き戸は鍵自体の形状によっても、防犯性能が変わってきます。代表的な鍵の形状の種類を解説します。
①シリンダー錠
ピンシリンダー・ディスクシリンダー
シリンダー錠とは、キーを差し込んで開けるタイプの鍵です。鍵の側面にギザギザのあるタイプのピンシリンダーやディスクシリンダーは、古い住宅の鍵によく使われていますが、ピッキングに弱いというデメリットがあります。
ディンプルキー
ディンプルキーは現在の玄関ドアの鍵の主流で、鍵の表裏に大小のくぼみがあります。ピンシリンダーやディスクシリンダー錠よりも、鍵穴の内部が複雑になるため、ピッキングに時間が掛かり、より防犯性が高くなります。また、複製も難しいため合鍵を作られにくいメリットもあります。
この他にも、マグネットタンブラーやウェーブキーシリンダーなどがあります。
シリンダーの交換のみでも防犯性を高められます
既存の玄関引き戸は、錠前の鍵穴の部分(シリンダー部)を、ディンプルキーなどの高性能なシリンダーに交換するだけでもの防犯性を高められます。
ただし、引き違い戸錠やサムラッチ錠、握り玉錠などは、シリンダーを高性能にするために錠前ごと交換が必要な場合があります。
②電子錠・電気錠
玄関引き戸にも、電子錠・電気錠を取り付けることができます。電池式は電子錠、電源を使うものは電気錠と呼ばれます。引き戸は左右に扉が動くため、配線を通す電気錠よりも電子錠が主流です。
YKKAPの片引き玄関ドア「コンコードS30」は、顔認証キーやリモコンキー、タグキー、スマートフォン操作など複数の方法で開錠が可能です。
また、電気や電池がいらないキーレックスという自動施錠タイプの鍵もあります。
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玄関引き戸の鍵交換の費用相場
これまで紹介した玄関引き戸の鍵をDIYで交換する場合の費用相場(材料費)・鍵交換業者に依頼した際の作業費の相場を紹介します。
・戸先鎌錠…6,000円~5万円程度
ドアごとに付けられる錠前が決まっていることが多いため、錠前のメーカーや正確な寸法の測定を行ってから部材を購入しましょう。
・引き戸召し合わせ錠…3,000円~7万円程度
戸先鎌錠とセットになっている商品や、鍵のタイプによって価格が変わってきます。
・シリンダー錠交換…ディンプルキーの交換部品は15,000円~25,000円程度
ピンシリンダー・ディスクシリンダーの場合は5,000~10,000円と比較的安価に部品が手に入ります。
・スマートキー…10,000円~30万円前後
機能によって差があります。カードキーや暗証番号キー<リモコンキー<顔認証の順に価格が高くなります。
・キーレックス…30,000円~10万円前後
キーレックスは電源不要で暗証番号、オートロック機能のある鍵を取り付けられます。機能や形状によって価格が変わります。
・鍵交換を業者に依頼した場合…作業費10,000円前後~
交換する前の鍵と交換後の鍵のタイプや作業の難易度によって、作業費は変わってきます。
YKKAPの玄関引き戸の鍵をDIYで交換する方法
YKKAPの玄関引き戸の鍵は、一般的なシリンダー錠と形式が異なるため、難易度は高いですがDIYで交換は可能です。はじめに、鍵のメーカー名と、鍵を取り外して各部材のサイズを測ります。メーカーとサイズがわかったら、ホームセンターや通販サイトなどで鍵を購入します。
YKKAPのパーツショップでは、鍵の商品名と適用商品が見られるので、既存の玄関引き戸に適応するサイズ、商品名が記載されている部品を選択しましょう。メーカー以外の通販サイトで購入する場合は、交換要領書など、取り付け方法の説明書が付いているかどうかや、返品・交換のルールなどを必ずチェックしましょう。
鍵交換だけで玄関ドアの防犯性は万全になる?
鍵の交換でピッキングによる侵入に対する防犯性は高められますが、そもそもドアやガラスの強度が弱かったり、劣化が進んでいたりなど、ドア本体の防犯性能が低ければ、ガラス破り、こじ破り、打ち破りなどの方法で侵入を許してしまう可能性もあります。
また、鍵がかかりにくくなった引き戸は、鍵自体よりも住宅の歪みや建て付けの悪さが原因であることも多く、この場合は鍵を交換してもしばらくするとまた鍵が掛かりにくくなる、という事態になってしまいます。
もし、引き戸自体が古いなら、引き戸ごと交換するのがおすすめです。最新の玄関ドアにはピッキングに強いディンプルキーが採用されている上に、2ロック仕様になっています。また、こじ破りに強い抵抗力を持つ鎌錠がつけられています。
さらに室内側は、万が一ガラス部分を破壊されてしまっても、内部のツマミを操作できないよう、取り外しのできるツマミのセキュリティサムターンが使われています。また、帰宅時の鍵のかけ忘れを防げるよう、セキュリティサムターンには、目で確認しやすい施解錠表示がされています。ガラス部分は、オプションで破壊されにくい安全合わせガラスにすることもできます。
玄関引き戸を交換する場合には、交換工事の際に建付けの悪さも直すので、住宅に歪みが生じていたとしても、数年後に鍵が圧迫され、また開け閉めし難くなるという心配がありません。
最新の玄関引き戸は、ガラス部分に複層ガラスが使われているため、ガラス面からの熱の出入りが少なくなります。また複層ガラスは枠とガラスが溶接されているので、格子と単板ガラスが組み立られている引き戸とは違い、隙間からの熱の出入りがありません。引き戸自体を交換することで、防犯性を高められるだけでなく、断熱性も向上し室内環境も快適になります。
さらに、玄関を引き戸から開き戸に交換することもできます。開き戸なら防犯性能、断熱性能がアップし、通風タイプのドアやリモコンキーもお選びいただけます。
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玄関ドアや玄関引き戸は玄関の使い勝手や、住宅全体の風通しや室温に影響があります。玄関ドアのことなら何でもご相談ください。玄関の向きや玄関周りの環境に合わせて最適なご提案をさせていただきます。
お客様のご自宅に伺う仕事ですので、信頼を何よりも大切にしています。丁寧親切はもちろんのこと、マナーの徹底も行っています。仕事は、最後は人で決まるという部分があります。世界に唯一の商品やサービスを売っている会社なんて一握り。同じような価格、同じようなサービスは、他にもある。それでも「あの人に」と選んでいただける、そんな会社でありたいと思っています。
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新しい玄関で快適な生活を手に入れてください。